フェズ→カサブランカ→帰国。旅と人生はインシャアッラー!

砂漠の町、リッサニから夜行バスに揺られ、早朝フェズに到着。
この町も歴史は古く、旧市街はモロッコ最大のメディナとしてユネスコ世界遺産にも登録されています。


バスターミナルで少し眠ってタクシーで旧市街へ移動。
適当に見つけた宿に入ろうとしたけどどこもFullでなかなか落ち着けず。
そこへ「宿を紹介してあげる」とおじさんが声をかけてきました。
連れて行かれたところはモロッコ人の普通のお宅。
部屋に入ると一家団欒中の家族があわてて掃除を始め、外に出て行きました。
そう、フェズには一般家庭の部屋を旅人に提供している「リャド」という宿泊施設がたくさんあるのです。
昔ながらの家庭的な部屋に泊まることができるため、欧米人はよく利用しているといいます。


少しいい値段はしたけど、朝早くて眠かったので他を探す気力もわかず、ここで荷を下ろすことにしました。


砂漠の旅が終わって気が抜けてしまった状態で、フェズではゆっくりしようということになりました。


とりあえず昼ごろまで眠って街歩きへGO!


mon
フェズの旧市街を囲む城壁、その入り口となる門。
多くの観光旅行者の拠点となる地区です。


medina
一歩メディナへ足を踏み入れるとまるで迷路のよう。
細かい通りが複雑に入り乱れ、意識せずに歩くとすぐ迷子になってしまいます。
フェズのメディナ(フェズ・エル・バリ)ではメインの小道が二つあり、そこを中心に細かい路地が張り巡らされています。


kawanamesi
皮なめし職人の染色場。
牛の皮などを引き剥がして乾かし、それを自然の素材でできた染料に浸していく。ちょっと厳しいところでした。
匂いも強烈で観光客にはミントの葉が配られ、それを鼻に持って行ってくことで匂いを紛らわすことができます。


rojiura
ここは洞窟ではない。
街の中の路地の一つ。
世界一狭いつきあたりともいわれています。
わきっちょにはさらに小道があり、その奥で人々が生活する家があったりします。


yotien
途中で立ち寄った幼稚園での一枚。
どこの世界も子供は純粋でかわいいものですね。


itiba
夜ごはんは市場にある食堂で。
上から通りの様子をうかがえます。


tajin
そこでの料理。
タジン、サラダ、パン。左下はハリラというスープ。
本来はイスラムの行事、ラマダン(断食)後に飲む胃にやさしいスープ。


kurep
翌日も街歩き。
これは道端で売っていたクレープ。
もとはものすごい大きさだけど、それを適量に引きちぎって皿に盛り、シロップをかけてもらいました。
毎日タジンばっかりだったのでたまにはこういう質素な昼飯もいい。


yado
泊まったリャドの部屋。
通常は家族が暮らしている部屋らしく、ものすごく広い。


yado
天井も吹き抜けになっていてものすごく高い。
うちらが泊まるには立派過ぎました。
でも値段は3つ星ホテルくらい。とても静かだし設備も整っているので、これからフェズを訪れる人は是非泊まってもらいたいと思いました。


donuts
夕方街を歩くと、普段は開いていない店がやっていたりします。
ドーナツ屋さんもその一つ。
夕涼みに公園などでつまむには最適なスナック。
香ばしくてとてもうまかったです。


galson
夜はレストランへ。
ここの店は店主でもあるおじさん(写真中央)がとてもすばらしい働きをしていました。
テキパキとした対応、スタッフへの支持、料理の説明など、今までいろいろレストランに入ったけど、これほど気持のよい対応の店はなかったです。
なんだかイヴ・モンタン主演のフランス映画「ギャルソン」を思い出しました。
きっとこのおじさんもパリで修行してきたに違いない。
ちなみにここのタジンも最高にうまかった。


medina
フェズでの最終日もやはり街歩き。
いろんな店が立ち並んでいて、毎日同じ場所を歩いても飽きることがない。
この風景、久保田サキの名曲「異邦人」を思い出します。
「市場へ行く人の波に体をあずけ、石畳の街角をゆらゆらとさまよう」
「祈りの声、ひずめの音、歌うようなざわめき・・・」


tajin
最後に食べたタジン。
日本でも食べたいので、お土産にはタジン鍋とタジンの素を購入。


mado
フェズからカサブランカへ戻る列車にて。
西日が容赦なく照りつけエアコンが効いているにもかかわらずものすごく暑い。
たまらず持っていた布を窓にかぶせます。


やがてカサブランカに到着。
飛行機は翌朝の早朝に出るため、ホテルには泊まらず、このまま空港に向かうことに。


home
カサブランカ空港駅にて。
「旅も終りっす。」


今回の旅ではイスラムの人々に深く根付く「インシャアッラー」という精神に感銘を受けました。
どのような状況でも、どんなに苦難に立たされたとしても、それは神の思し召し。なるべくしてなることだと。
明日の天気はどうなるかと尋ねても「インシャアッラー」。
日本語を勉強するモロッコ人に、別れ際、また日本で会いましょうとあいさつを交わしても「インシャアッラー」。
砂漠で偶然ツアーに参加することになった時も「インシャアッラー」と歓迎されました。


思えば今回のモロッコの旅は全くのノープラン。
明確なルートも決まっていなければ宿なども行き当たりばったり。


でもそれが旅のだいご味でもあり、おもしろさでもあります。
そこで出会えた人や遭遇した出来事、新たに発見できたことなどに対しては、やはり、この一言につきます。


インシャアッラー!


宗教的な意味を含まずとも、とてもすばらしい考え方であり、自然に存在する究極の思想とも思えます。

日本はいろんな意味でモロッコからとても遠い国だけど、それだけに知らないこと学ぶことがいっぱいありました。
普段の生活においてもこの精神は大切にしていきたいと思いました。