香港の安宿に泊まった時にミニマルライフについて考えた結果

ふとしたきっかけで、今まで凝り固まっていた意識が水のように溶けていく感覚を味わうことがたまにあります。久々のブログになりますが、今回はそのことについて書いておこうと思います。

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香港の安宿でふと考えた、生活の中の「無駄」

去年(2014年)の暮れにタイに行ってきたついでに香港に寄って2泊しました。
香港も意外と物価が高く、なるべく安い宿を探した結果、繁華街である九龍・尖沙咀地区のネイザンロード沿いにある重慶大厦(チョンキンマンション)内のホテルを予約しました。
しかし宿泊した部屋がまたとんでもなく狭い部屋で、3畳あるかないかくらいのスペースにシングルベッドより少し大きめのベッドが一つ、そして小さなラックがあるだけの、まさに「寝るためだけの部屋」だったのです。
トイレ兼シャワールームもあるにはありましたが、人が一人立てるくらいのスペースしかありません。
こんなに狭い部屋は久しぶりで、夫婦とはいえ大人が2人で使うにはかなりの窮屈さと不便さを強いられました。
しかし慣れるもので、2日目には「まあこういうもんか」と開き直って、むしろこの窮屈さを楽しむ2人がいました。

香港観光を終えて夜再びこのスモールルームに戻ってきて夫婦でいろいろと会話しました。

妻「なんか、この狭さ、かえって落ち着くね。」
僕「そうだよ、日本人はもともと狭いところに住むのに慣れてるんだ。」
妻「それ言うと、今住んでる家も無駄に広いよね。」
僕「そうだね、リビングとか端っこしか使ってないし、2階とかほとんど物置だし。」
妻「家賃もったいなくない?」
僕「そう言われればそうだな。引っ越すか。」
妻「うん、いいね。」

とまあ、大雑把ですがこんな会話が繰り広げられました。
「移動」の時期はいつもこんなふとしたきっかけで動き始めます。

移動後に見えた大量の無駄と無意味な虚栄心

帰国すると早速新たな部屋探しが始まりました。
長年住み続けた大磯という町は居心地がよく、妻もヨガの仕事をいくつか受け持っている関係で、やはり次の住まいも大磯と決めました。
いつもは一発決めで契約まで漕ぎ着けるのですが、今回はもう少し熟考し、じっくりと納得のいく部屋選びを行いました。

最終的に決めた部屋は団地の一室。
結果的にこの部屋には大変満足しています。

家賃の面で見ても、なんと4万円もの大幅ダウン。月々の負担がだいぶ減ることとなりました。
この話を友人などにすると

「なんでもっと早くそうしなかったの?月4万といえば1年で50万近くも浮くよ!そのお金であっちこっち行けたのに!」

まさしくその通り。返す言葉もありません。

夫婦2人で庭付き3LDKの家に住んでいたのは、ちょっとした見栄があったのかもしれません。
雑貨屋の商品倉庫として、またバンドの音響機材置き場、あるいはレコーディングスタジオとして利用するために、こんな部屋数の多い家に引っ越してきたのは4年ほど前。しかし実際はそれらの目的とは裏腹、あんまり活用できないでいました。

日常的に動きのないモノに囲まれた生活、そして短絡的な虚栄心のために無駄に広い家に住むことに、漠然とした懐疑心を抱いていたのも今となっては事実と思えます。

「いつか使う」は「ずっと使わない」と同じ。断捨離の基本に立ち返る

2月末の寒い時期に引っ越しを決行しましたが、無駄なモノはことごとく排除することとしました。
不要なモノを大量に捨て、売れるモノは売りさばき、人にあげられるモノは引き渡し、他所に置かせてもらえそうなモノは遠慮なく置かせていただくことにしました。

そう、普段の生活で使わないモノって、じっくり考えてみると恐ろしいほどの量になることがわかります。
必要なのは今現在使っているモノと、近いうちに使う予定のあるモノ。

「これはいつか使うかもしれない」
「これはいずれ役に立つ」
「これはいつか必要になるはず」

いつかっていつだ!?

使う予定が明確じゃないモノは高確率で一生使わないモノがほとんど。
断捨離を進める上での基本キーワードでもあるんですよね。

この「いつか・・・かもしれない」が家レベルで巻き起こっていた我が家は、ある意味ウォーニング・アラートが鳴りっぱなしの状態だったのかもしれません。

香港の安宿に泊まってなかったらそのことになかなか気づけず、ひょっとしたら今だに前の家にしがみついていたかもしれません。
きっかけって大事だなー。

「積み減らし」がキーワード。より一層のミニマルライフを目指そう

引っ越し後は心身ともにシンプル&ミニマルな状態となり、もはや不要なモノに囲まれた生活は気持ち的に耐えられません。
これからは自分の外壁を固めるのではなく、内部の森を育てることを人生のミッションとしたいです。

最後に岡本太郎氏の言葉を紹介します。
なんとなく思っていたことをジャストミートな言葉にしてくれています。

人生は積み重ねだと誰でも思っているようだ。僕は逆に、積み減らすべきだと思う。財産も知識も、蓄えれば蓄えるほど、かえって人間は自在さを失ってしまう。過去の蓄積にこだわると、いつの間にか堆積物に埋もれて身動きができなくなる。

岡本太郎の名言|人生は積み重ねよりも、積み減らしが重要より