ペルー日本大使公邸占領事件発生時の冷や汗体験

8487958f.jpg自己責任というのがあれこれ話題に上っていますが、「責任」を追求するのは結果論でしかないと思います。
事件が起これば、起こした人に対して「責任」が生じるのは当たり前ですが、その責任に対する尺度が人によって違うのも事実。
強い意志と使命感を持ってあえて危険な場所へ身を投じる人もいますが、100%その行為が正しいとか間違っているとかの基準なんてものはない。
だから結果としてその行為が第三者に迷惑や心配をかけてしまっても、それを他人が「自己責任だ」と叱責するのも変な話だと思います。

しかしそれとは逆に、なんともなしに野次馬根性でフラリと危険な場所へ身を投じ、いろいろな人に迷惑をかけてしまったら、それは責任を問われても仕方ないでしょう。

結構前の話ですが、学生の時にそんなアホなことをしでかしたことがあるので、今さらながらちょこっと思い出してみます。

3ヶ月程の南米旅行最終日、ペルーの首都リマにいました。
おりしも「ペルー日本大使公邸占領事件」が勃発しており、その当時の旅行者の間では現場を実際見たかどうかが一つの旅のステータスのようになっていました。

大使公邸アプローチは、旅の始めにチャレンジしてみましが、現場の詳しい場所が分からず断念。
約3ヶ月間、陸路で見知らぬ国々を行き来した結果、妙な落ち着きと負けん気だけが身に付いていました。
そして再びリマ。
事件は未解決のままでした。
ボリビアで知り合ったカメラマンが取材をしているというのもあり、是非現場に行ってみたかった。ただの傍観者として・・・。

情報拾集し、場所を検索して現場付近の宿に泊まり、最終日の朝、旅の最後の思い出にとその事件現場に突入することにしました。

通常なら警備が厳しく、事件現場から半径約300mほどの区域には関係者以外入ることができないのですが、運良く(悪く)警備員のスキをうかがって侵入することができちゃいました。

この時点で誰かに呼び止められて注意されたら、すぐに引き返したことでしょう。
しかしこれまた幸か不幸か、そのまま歩きに歩いて報道陣や警察がたむろするスペシャルデンジャラスゾーンへ足を踏み入れてしまいました。

その場所の異様な雰囲気に息を飲んだけど、まあ、記念にと写真を一枚、パシリ
あとは空気を察してそそくさとその場所を後にしました。

しかしすぐに呼び止められました。
あそこで写真を撮っていただろう?
地元の警察官だったろうか、別に悪気があって撮影したわけではないので、隠すこともなく素直に返事をしました。
持っているものをここに全部だして、手をつけ!
といきなり怒鳴られました。
そしてそのまま逮捕
一気に火をつけたかのように報道陣に囲まれ、そのまま護送車に。

日本ではたいしたことないのかもしれないけど、ペルー共和国においてこの行為は立派なスパイ罪となるのです。

その後警察署につれて行かれ、一日牢屋に監禁、尋問攻めにあいました。
日本領事館の方や通訳の方が来て下さり、必至に弁護してもらい、夜遅くにどうにかこうにか無実が確認され、釈放。
急いで空港に行き、結果、ギリギリで日本に帰ることができました。

ちょっとしたヤジウマ根性が結果としてとんでもない事態に発展した、アホな旅行者の愚行です。
この場合最終的に無実が確認されたが、何かの間違いで人質の方たちなど、被害者の身に危険が生じたら、これこそ「自己責任」が問われるというもの。
というか、そうなったら弁解の余地がないな・・・と今でも身震いするような出来事でした。