ティネリールからトドラ谷へ。チャリがパンクして徒歩で行くことに

ワルザザートから次の町、ティネリールへは民営のバスを利用しました。
今まで国営のCTMというバスを利用していたのですが、時間も正確でエアコンも効いていてとてもきれい。
しかし民営のバスは発展途上国によく見られるようなオンボロバス。
座席が壊れていたり椅子が破れてたり。カーテンが破れてたり窓が閉まらなかったり。もちろんエアコンなんてあるはずがない。
時間も適当で客がある程度乗ったら出発。途中でも客引きをバンバンやって少しでも多く客を乗せます。また、途中下車もOK。平原の真ん中、何もないところで降りて行った人もいました。
あれこれ不自由な点が多いが、僕は割とこういうバスの方が味があって好きです。


ワルザザート~ティネリール~エルフード、これらの街を結ぶ道は俗に「カスバ(城塞)街道」と呼ばれており、道端にたくさんの城塞跡が見られ、旅行者を魅了します。


gita-
そんなこんなでようやくティネリールに到着。
いつものように適当に宿を探してチェックイン。
屋上に上って久々にギターを弾く。
いつもホテルの中でチマチマやってたので、ここでは思いっきり弾いて歌いました。
実は屋上の屋根が階下に筒抜けで、ホテル中に音色が響き渡ったようで、従業員や他の宿泊客が見に来たり声をかけてくれたりしました。
やっぱり音楽はいいですね。


yoake
翌朝、変な時間に目が覚め、せっかくなので屋上に夜明けを見に行きました。
月がとってもきれいでした。


tv
ベルベル人のテレビ。


chari
この日はレンタサイクルで15kmほど離れた所にある名所「トドラ峡谷」に行くことにしました。
天気は快晴!弁当と水を持っていざ出発!


・・・が。この写真を撮ったすぐあとにパンク!
なんてこった。
結構走ってきたところでパンクしてしまったので今更戻るのもしゃくだし。
仕方ないからトボトボ押して行くことにしました。


panku
ところが救いの神が登場。
坂道をひいこら言いながら押してきたのを親切なベルベル人のおじさんが見ていて、声をかけてくれたのです。
この人なぜかスペイン語がペラペラなので会話も楽でした。
いわく、うちが近くにあるからそこで直してあげる、とのこと。
なんと親切なことか。


このおじさん(アリさん)宅で自転車修理が始まり、その間うちらは出されたお茶を飲んでのんびり待つことに。
しかし部品が足りないせいか、どうしても直らないようです。
結局、このまま押していくのも大変だし、自転車を預かってもらって徒歩で目的地まで目指すことにしました。


この場所からは10kmほどあるがなんとかなるだろう。


oasis
途中、またまた親切な人登場。
普通は車道を通って谷まで行くのですが、道からそれて川沿いのオアシスを歩いた方が涼しいし車も来ないし自然に触れならがら歩けるし、いい事ずくめだと教えてくれました。
英語もペラペラで、地元民しか行かないようなカスバも簡単にガイドしてくれたりしました。


tani
結局、目的地の谷まで案内してくれて、うちらは無事到着することができました。
あとでガイド料請求されるんじゃないかと少し不安に思っていましたが、あっさりと「じゃ、ここでさよならだ」とか言って帰ってしまいました。イケメン!


ensoku
このトドラ谷の景観はすばらしい。
大迫力の自然の産物です。
海外からのツーリストはもちろん、モロッコ国内でも人気のスポットらしく、たくさんの観光客でにぎわっていました。
もっともバスやタクシーで来るのが一般的で、自転車はまれ。ましてや徒歩で来る人はほとんどいないでしょう。


hirumesi
だからこそこういうところで食べる飯はウマイ!
持ってきた果物やパンなどを広げて川沿いに腰かけてランチタイム。
至福のひとときです。


gakusei
なにやら遠足に来ていた女子中学生たちが集まって来て一緒に写真を撮ってほしいという。
彼女らにとって外国人と一緒に写真に写るのがひとつのステータスなのかもしれない。
もちろん快諾。自分も写真を撮りあいっこしました。
なぜかここにきている人たちはダルブッカ(アラブの打楽器)を持っていて、あちこちで楽しいリズムが聞こえます。
彼女らも例外ではなく、そこらへんに腰かけて太鼓を叩いて歌を歌い始めました。
しまった。こういう時にギターがあれば・・・
とにかく食後のちょっとしたレクリエーションタイムとなり、昼寝をする時間もありませんでした。


hirune
体が安まったところで来た道を引き返します。
オアシスの道は迷い道なので、今度は通常通り車道を行きます。
写真は道端でシエスタ中のおっさん。


hensou
道を歩いているとすれ違いざまにいろんな人に声をかけられます。
一発で東洋人と分かるので日本語であいさつされることもしばしば。
みんなとてもフレンドリーです。
しかし、暑くて写真のようにゲリラ巻きにした途端誰も声をかけてくれなくなりました。
そうなると少しさびしかったので、直ぐにはずすことと相成りました。


miharasi
自転車を預かってくれたアリさん宅まで往復20km。さすがにバテた。
しかし彼は快く迎えてくれて、階上にある見晴らしの良い所に案内してくれました。
さっきは気付かなかったけど、ここはホテルを兼ねた展望カフェだったのです。
アリさんはそのオーナー。
すばらしい景色を眺めつつミントティーをすする。
すると太鼓を持って来て一緒に叩こうと言います。
彼のマドレもやって来てジルを弾いて一緒になってリズムを奏でる。
「サハラー」「インシャアッラー」「ママ・アフリカ!」というハレオがしっくり来ます。
この地に生まれ育ったベルベルの民は心やさしく自然の恵みを大切に、生きることに感謝して日々過ごしているのだな~と思いました。


beruberu
なぜか砂漠の民のコスチュームを着せられるワタクシ。


すっかりお世話になり、自転車のパンクを直してもらったりしたのでお金を払おうとしたけど受け取ってくれませんでした。


考えてみたら自転車がパンクしたおかげでいろんな出会いがあり、旅に味付けが施されました。
これもインシャアッラーなのかな。


kiro
さあ、町へ帰ろう。
この風景、映画「シェルタリング・スカイ」を思い出す。
自転車で絶壁へ行く場面。
今回のモロッコ旅行もこの映画の影響がでかい。


・・・続く。