震災からそろそろひと月。避難所でボランティア演奏させて頂きました

昨日は福島県郡山市で活動するNicoに誘われて、地震被災者の避難所にボランティア演奏に行って来ました。ちょっと長文になるけど、そのレポートを。
 
Nicoも被災者の一人なのに、避難している人たちを励ますために進んで演奏に出かけているという。その話を聞いて僕も何か力になれればと思い、今回演奏に加えさせてもらいました。
手ぶら行くだけではどうかと思い、何か物資を輸送しようかと思って避難所の方に確認したりもしたけど、現在は物資や医療品なども充実してボランティアも募集を打ち切っているとのことで、かえって半端に持っていっても迷惑がかかりそうなので結局身一つギター一本で行くことにしました。
 
バンド関係の仲間3人とともに車1台で福島県に向かいました。
東北道は栃木県あたりまで問題なく進んだけど、福島県に入ったら路面がひび割れて補修がなされており、かなりデコボコしていました。
高速を下り須賀川ー郡山と進みます。建物を見ると被害の状況は明らか。
壁が崩れ落ちていたりガラスが割れたり瓦屋根が損傷していたり。須賀川インターを下りたすぐの場所にあった大きな建物はほぼ全壊していました。
 
避難所になっている「ビッグパレットふくしま」に到着。駐車場にはものすごい車の数。ただならぬ雰囲気でした。
数年前Nicoのライブをこの場所でやったのが記憶に新しいが、まさかこんな形で再訪するとは思いもしなかった。
現在ここは郡山周辺で最大の避難所とのことですが、おもに原発の被害から逃れてきた富岡町、川内村、双葉町などに住む方たちの避難所となっているようです。

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屋内に入ると所狭しと並べられた段ボールの壁。その中に身を寄せ合ってじっとしている被災者の方々の姿が。
3階まで大広間や廊下、レストランの中など、空いているスペースがないくらいに密集しています。若い人の姿もあったが、じいちゃんばあちゃんなど年配の方々の姿が多いように思えました。この中には地震や津波の被害で家族親戚を亡くされた方もいるかもしれない。そしていつ終わるか先が見えない原発の問題を抱えている。館内を少し見て回ったが、なんだかとてもやるせない気持ちになりこみあげてくるものがありました。
 
演奏はまず1階の空きスペースで行いました。こんな状況で果たして音楽なんて聞いてくれる人がいるのか、それどころじゃないんじゃないかと思ったりもしました。とてもやりづらい雰囲気が満ちていました。が、いざ演奏を始めてみると人がたくさん集まってくれて、とても楽しんでくれている様子でした。演奏が終わると拍手が沸き起こり、「ありがとう」「また来てね」という声を頂きました。
続いて2階、3階にも上がって、適当な場所で演奏を行いました。仕切る人がいるわけでもなく、自主判断で実行する。他のボランティアの方たちも状況は同じだと思います。

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Nicoはこんな状況で一人でギター片手に乗り込み、何の指示もないまま自分の判断で流し演奏を行ったというから、やっぱり度胸がある。なかなかそんなことはできない。
自分らも今回それに参加させてもらい、微力ながらみなさんの励みになったのではと感じています。
うちらの他にもミュージシャンがいるようで同じように流しで演奏をしたり、獅子舞の披露があったり、「マッサージやります」というカードを掲げて周っている人がいたり、子供たちにお菓子やおもちゃを提供する人がいたり、ボランティアにも様々な形があるようです。

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ビッグパレットを後にして、次に福祉センターという場所に向かいました。

ここは郡山在住で地震で家が損壊して避難している方たちが身を寄せていると聞きました。
事前にライブの告知をして頂いていたようで、みなさん気晴らしに音楽を聴きに来てくれました。
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マリオさんのギター演奏を聴いて涙を流す方もいたり、演奏後に握手されて感謝の言葉を頂いたり。こちらとしてもとてもうれしかったです。
最後にNicoが運営するBar de Nicoにて特別ライブを開催。
お店もスピーカーが吹っ飛んだりガラスが割れたり大変な被害だったようだけど、なんとか復旧して営業を再開したようです。なじみのお客さんもたくさん来てくれて、ライブも盛り上がり、楽しいひと時となりました。
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ただ、郡山も原発の影響で大手の企業などが福島県から撤退したり、避難して県外に移ってしまった人もいたり、さらに観光客も激減することが予想され、こうした飲食店も含め、今後はどうしたらいいのかまったく不透明、という声が多いようです。地元に残って復興に努めたいところだが、放射能という目に見えない脅威が実行力とモチベーションを衰退させてしまう原因になっているのは明らか。まだまだ福島県の方々は長い葛藤の日々が続くと思われます。

Nicoは今後も福島県内の避難所をボランティアで回ったり、よくライブで訪れる仙台の方にも足を伸ばしたいとのこと。自分も含め関東に住むバンド仲間と一緒に機会があれば今後も積極的に参加していこうと決めました。