憎しみのスパイラルから抜け出すべし。映画「ユナイテッド93」の感想

もう10日くらい前になりますが、9.11だったので映画「ユナイテッド93」を見ました。

United93

『ユナイテッド93』(United 93)は、2006年のアメリカ映画。アメリカ同時多発テロでハイジャックされた4機のうち、唯一目標に達しなかったユナイテッド航空93便の離陸から墜落までの機内の様子を、残された資料や証言などにより可能な限り再現、製作されたノンフィクション映画です。

Wikipediaより
ハリウッド映画にありがちなドタバタパニック映画ではなく、出来る限り事実に基づいたシリアスなノンフィクション映画で、飛行機をハイジャックされる場面なんかはすごい緊迫感で心臓ドキドキものでした。

まるで自分もその飛行機に搭乗しているかのような臨場感は映画監督の手腕か。

そして事実に出来る限り忠実に再現できたのは遺族の方々への念入りな取材の結果かと思います。

United93

DVDの特典映像で遺族の方々がインタビューされてたり、映画の中で演じた俳優と実際に会ったりして、スタッフや俳優たちの深い思い入れが遺族たちの心を開き、よりリアルな映画制作へとつながって行ったことが分かります。

ある意味映画本編と並んで、ドキュメンタリーとしても秀逸な作品という気がしました。

United93

(ユナイテッド93の墜落現場に設置された慰霊の場所)
そのドキュメンタリーの中である遺族が語っていた言葉が印象的でした。

「ビンラディンを恨んでいるかって?そんな会ったこともない人を恨んでも仕方がないよ。現実に起こってしまったことだからね。それよりこの事実と向き合ってこれから自分がどうやって生きていくのか、そっちの方が重要だよ。」
言葉は違うかもしれないけど、確かそんな風に語っていたような。
中には恨んでも恨みきれないという人もいるかもしれない。

なんらかの方法で復讐できればと考える人もいるかもしれません。

だけど、恨んだり憎んだり復讐したりしたところで、亡くなった人は帰ってこない。

恨む、憎む、相手を追い込む、復讐する・・・これらって全部負のエネルギーが働いている気がします。

こうやって書いているだけでもとても嫌な気分になります。

でも考えてみたら人類の歴史ってこういうことの繰り返しなんじゃないでしょうか。

利益を得るため、あるいは自分に正当性を持たせて優位に立ちたい。そういう理由で相手を叩く。

そしたらやられた方は相手を憎ったらしく思い、奪われたものをなんとか奪い返そうとする。

やられたらやり返す。そうしてやられた相手はまたやり返そうと憎しみを増大させていく。

そうやって人間は争いを繰り返してきて多くの人たちが言いようのない悲しみを抱いてきました。

ずいぶん話が飛躍してしまいましたが、根本は同じです。

今の日本も近隣諸国といろいろな問題を抱えているけど、そこには憎しみの感情が働いている気がします。

こういうのってなんとかならんのかな。

確かにあの島はもともと日本の領土なのだから・・・
しかしその前に地球親分の持ち物なんだぜー!?
人間が勝手に線引いて遊んでるだけじゃねーか!?
何をそんな憎しみ合って争い合っているのか、僕にはあんまり理解できないことが最近多い。

人類は2~3,000年たっても昔となんら変わってない。

人間の性質として憎しみ合い奪い合うということがプログラミングされているかのようです。

いったいどうやったらこの憎しみのスパイラルを抜け出すことができるんだろう。

そこで、さっきのドキュメンタリーの遺族の言葉。

「事実と向き合ってこれから自分がどうやって生きていくのか、そっちの方が重要。」
他者を憎むことはさておき、現状を肯定して自分がいかに生きていくかを最重要視すべき。

なんらかの憎しみを抱いている人がみんなそういうちょっとした思考の方向転換を図ってみれば、地球規模で何かが変わる気がするのですが。

ドキュメンタリーの最後は、おばあちゃん(この人も遺族の一人)の一言で締めくくられた。

「世界が平和になってくれたらいいねえ」
憎しみスパイラルから抜け出して、いつかそういう日が来ればと思います。