タイ南西部、カオラックのバンニャンビーチが気に入った5つの理由
ミャンマーを2週間ちょっと旅して最南部の町から船でラノーンへ渡りタイに入国。
その後バスで4時間ほどかけてカオラックという町にやってきました。
カオラックの「カオ」は山の意味、「ラック山」という山を抱く地域の総称をカオラックと呼んでおり、その海岸沿いには幾つかのビーチがありリゾート地として知られています。
カオラックを知ったのはタオ島(タイの東海岸、サムイ島の近く)でダイビングをしていた時のこと。
スキューバでお世話になっていた「Big Blue Diving」の支店がカオラックという場所にあると聞いて名前だけは知っていました。
いつかは行ってみたいなと思ってましたが、今回せっかくタイ南西部に来たので少し足を伸ばして行ってみようということになった次第です。
今回僕らが滞在したのはカオラックのバンニャン・ビーチというエリア。
初めてだったけどとても気に入っちゃいました。
というわけでバンニャンビーチエリアのこんなところが良かった!というのを挙げてみたいと思います。
1.ヒッピー化してない静けさ
なんでしょう、この落ち着いた感じ。
道を歩いている人が欧米人の老夫婦だったり小さな子どもを連れた若いカップルだったり。
一方、一人旅風のバックパッカーや騒ぐの大好きという感じのイケイケカップル(?)みたいな旅行者はほとんどみかけなかったという印象です。
ビーチに近いエリアは割と高級なヴィラが多く、レストランやバーなんかもちょっと高級志向なお店が多い感じです。
なのでとにかく費用を切り詰めたいバックパッカーにはあまり人気がない場所なのかも。実際どうかわからんけど。
▲落ち着いた雰囲気でリゾートライフを楽しむ欧米の老夫婦の姿をよく目にしました。
▲カオラック1泊目はAgodaでホテルを予約したところ手違いがあって急遽別のホテルに。ラッキーなことにワンランク上のホテルでプールなんかもついててとてもいい部屋でした。
余談ですが僕が20年前からよく通っていたタオ島も今や多くのバックパッカーに知られるようになり、安く泊まれるバンガローや飲んで騒いで楽しめるビーチバーなんかも多くなり、どうも落ち着けない雰囲気に。ビーチ沿いには爆音とどろかせたディスコみたいな店が立ち並び、まるでヒッピーのたまり場みたいになってしまったのを最近はちょっと残念に思ってました。
カオラックのビーチエリアはそういう騒々しさがなく静かに過ごせるので、ああタオ島まで行かなくてもこういう場所があるんだ、と目から鱗状態になったわけです。
2.陸路で行ける安心感
またタオ島と比較するのもなんですが、島は何と言っても船で渡らないといけません。
去年の雨季の時期にもタオ島に行ったのですが、乗った船が揺れに揺れて嘔吐者続出!船内は阿鼻叫喚地獄のようになり、行くだけでも大変な場所だと思ったものです。(乾季は海が静かなのでそういうことはないんですけどね。)
それに比べてやっぱり陸路で行けるカオラックは、地に足着いた感じで何か安心できます。
バンコクから直通あるいはスラーターニー経由の夜行バスも出ており、アクセスも楽。(本数が限られているので早めの予約が必要!)
▲ラノーンからクラビ行きのバスに乗り、タクアパのバスターミナルでプーケット行きのバスに乗り換えるところ。カオラックはプーケットに行く途中のバス停で降ります。
お財布に余裕がある場合はプーケットまで飛行機で移動し、空港からバスで移動するという手もあります。
プーケット空港からカオラックまでバスが頻繁に出ており、1時間くらいでアクセスできるので時間が限られている人はおすすめです。
▲カオラックのバンニャンエリア付近のメインロード。
3.多様なダイビングスポットと海のきれいさ
今回せっかくなのでスキューバやろうかと思ってBig Blue Divingでデイトリップを予約したのですが、シーズンど真ん中のため滞在中の日程は既にFULL!結局やらずじまいでした。
調べてみるとタイの東に広がるアンダマン海はまさにダイビングスポットの宝庫。美しい珊瑚礁と透明度の高さで知られ、タイの海洋国立公園に指定されているシミラン諸島やボン島(コ・ボン)、タチャイ島(コ・タチャイ)など、ダイバーなら一度は潜りたい憧れの場所だということが分かります。
今回は残念ながら参加できなかったけど、ダイビングのライセンスを持っているならこの海に潜らない理由はないですね。(もっと前もって予約していればと後悔・・・)
▲ビッグブルーダイビングさんのオフィスが入ってる建物。黄色いイルカの看板が目印!
ちなみにデイトリップのダイビング(2本)の費用は4,500バーツ~4,900バーツ、さらに国立公園入海料(500バーツ)やダイビング許可料(200バーツ)、機材レンタル代(数百バーツ)などがかかり、見積もりを出してもらった時は正直ビビりました。
タオ島でやっていた時は1本につき1,000バーツ以下だったので、カオラックでもその程度と考えてました。
カオラックからダイブスポットの距離が離れているためボートの燃費やら何やらでコストもかかるんでしょうね。
少々お高くつきますが、それだけの価値はあるのだと思います。
▲一度は潜ってみたいシミラン諸島の海。(wikimedia commonsより)
ダイビングやらない人はシュノーケルツアーで周辺をクルーズするのもいいかも。
まあこれもお金がかかるので、一番安上がりなのはビーチで海水浴。これでも十分かと。
バンニャンビーチは遠浅のエメラルドブルーのきれいなビーチです。浜辺には落ち着いた雰囲気のカフェやレストランがあってパラソル付きのリクライニングチェアーとかも借りられます。
シーズンにも関わらず人も少なめで、落ち着いた雰囲気の中リゾート気分が味わえました。
▲バンニャンビーチの砂浜にあるカフェ。
▲ビーチの端っこの方にもカフェ・レストランがあって、サンセットタイムでも人がそれほどいなくて優雅に過ごせました。
ダイビングもいいけど、あまりお金をかけずビーチで日がな一日のんびりするのもカオラックの正しい過ごし方かと思います。
4.高級リゾートと思いきや庶民的な面もある
カオラックは高級リゾートなイメージがありますが、バックパッカー向けのゲストハウスや地元の人が利用するような定食屋などもあり、意外と庶民的な面もあったりします。
今回僕らが利用した宿やレストラン、おすすめスポットなどをちょこっと紹介します。
ビーチまで徒歩1分。Thup Thong(トゥプトン)ゲストハウス
バンニャンビーチの海水浴場から歩いて1分ほどのところにあるゲストハウス。
この界隈では高級~中級ホテルやヴィラしか見当たらず、おろらくここが唯一のバジェットなゲストハウスなんじゃないかと思います。
宿泊費は1階の東側(山側)が850バーツ、2~3階の東側が1050バーツ、2~3階の西側(海側)が1,250バーツでした。(2016年2月現在)
僕らは1階の850バーツ(2700円ほど)の部屋に2泊しましたが、とても静かでバルコニーも広々してて、かなり快適に過ごせました。
隣でレストランも経営しており、繁華街まで行かずとも気軽に飲食できます。
▲Thup Thong Guest Houseの外観。手前がレストラン。奥の方にゲストハウスの建物があります。
夜ごはんはここ!本格庶民派タイ料理、Mr.Aek食堂
ビーチエリアから少し離れますが、自転車やバイクなど借りていれば割と短時間で行けます。
場所はメインロードのセブンイレブンから南へ850mほど進んだ左側です。
▲メインロード沿いのタイ料理レストラン「Mr.Aek」。黄色い看板が目印!
店内入ったら仕込まれた食材がズラっと並べられているのにやる気を感じます。
もちろん味も抜群、ボリュームも満足なレベル。普通の庶民的な食堂価格で安く美味しく食べられるのがうれしいですね。
営業時間は夜のみ。日曜日は定休のようです。
中心部から少し離れてるけどおすすめです!
カオラックの夜市。バンニャン・ナイトマーケット
バンニャンエリアには夜になると広々とした市場が開かれます。
夕方くらいから開かれるこのマーケットはお土産屋や軽食、飲み屋など、旅行者向けの店舗が軒を連ねており、歩いているだけでも楽しめます。
海の幸をつまみにして一杯やった後、土産屋を冷やかしに歩き回るなんてことも可能。同じエリアにあるマーケットなので徒歩圏内に宿を取っている人も多く、結構賑わってました。
▲バンニャン・ナイトマーケット。外国人で賑わってます。
バスターミナル周辺は完全庶民派市場が広がる
メインロードに出てセブンイレブンから北に2kmほど進んだ右側にもうひとつセブンイレブンがあります。その辺りにバスターミナルがあります。
そして併設するように庶民的な市場が広がっており、地元の買い物客で賑わってます。あまり知られてないけど旅行者の隠れおすすめスポットとも言えるんじゃないでしょうか。
▲チャリでメインロードを北上。
▲左側にセブンイレブンが見えたらそこがバスターミナルと市場の入り口です。
▲バスターミナルの簡素なチケット売り場。
▲バスターミナルに隣接する庶民の市場。食料品がメイン。結構広いです。
▲この近くに料理教室があるようで、外国人の団体が市場で食材の買い付けを行ってました。時間があったら参加してみたい!
▲市場近くのメインロード沿いのカフェ「May Cafe」。とてもいい雰囲気のカフェでリラックスできました。
他にもガイドブックに載っていない安宿や庶民派レストラン多数アリ
ガイドブックにはどうしてもバンニャンエリアの中心地らへんのおいしいレストランが紹介されがちですが、やっぱりどこも結構なお値段なんですよね。
ちょっと気分を変えて高級なイタリアンやインド料理とかもいいですが、それでもやっぱり安くて美味しいタイ料理がいい!っていう人も多いはず。
上記のMr.Aek食堂の周辺、メインロードをちょっと行った場所にはそういう地元の人向けの安価な食堂が結構たくさんあったりします。
中心地の賑やかなエリアから少し離れた場所に庶民派食堂があったりするので、ガイドブックに頼らず自転車とかを借りて動き回ってみると穴場のレストランとかが見つかるかと思います。
▲メインロード沿いののっけ盛り食堂。ご飯におかず2品をのっけて40バーツ。中心部から離れるとこういうお店が結構あります。
またメインロード沿いにはバックパッカー向けのドミトリーがあるようなゲストハウスも幾つかオープンしてました。
K2 Backpacker Hotel 確かドミトリー300バーツだったと思います。
一人旅やお金のない旅行者も気軽に泊まれる施設も増えている様子。
▲一人旅でも気楽に泊まれる。ドミトリーのあるゲストハウス。
5.自転車で軽く一回りできるこじんまり感
バンニャンエリアは2-3kmの範囲内にレストランやホテル、ショップなどが集中しています。
歩いて移動できない距離ではないですが、ここはぜひレンタル自転車を活用して動き回りたいところです。
あちこちのホテルなどで自転車のレンタルを行っていますが、だいたい1日150バーツから200バーツほど。借りる際はパスポートかデポジットとして500-1000バーツを預ける必要があったりします。
しかし結構適当なレンタル屋さんもあって、今回僕らが利用したお店は1日100バーツでパスポートなども預ける必要なし。しかも自転車は安心の日本製!笑
▲再度カオラック・バンニャンエリアの地図。今回のおすすめスポットなど(2016年2月現在。場所など変わっちゃう場合もありますので注意)
▲テキトーな自転車レンタル屋さん。英語の分からないおばちゃんが親切に対応してくれました。パスポートやデポジット預けなどもなく、1日100バーツ。
バンニャンエリアは自転車があれば軽く一回りできる広さです。
余裕があればバスターミナル周辺のマーケットや山側のネイチャースポットにも行けて行動範囲が広がります。
▲自転車があればグッと行動範囲が広がります。バイクもいいけど、カオラックはのんびりチャリ移動がおすすめ!
カオラックに来たらぜひ訪れたい「津波ミュージアム」と流された船のモニュメント
2004年12月26日に発生したスマトラ沖地震。大津波が発生してインドネシアのスマトラ島北部やタイ南部、インドやスリランカ、そしてアフリカの東海岸にまで大きな被害が及び、犠牲者の数は22万人以上・・・。
日本では3.11の記憶が深く刻み込まれていますが、その7年ほど前にこれほどの大きな災害が発生していたことは日本人のみならず世界中の人も忘れてはいけないことだと思います。
タイ全土の津波死者数が5400人ほど、そのうちカオラック周辺での犠牲者の数は4千人以上。タイ南部で最大の被害があった場所がここカオラックなんですね。
その時の記憶を忘れてはいけないと、バンニャンビーチエリアにも幾つかの津波博物館やモニュメントが展示されています。
▲バンニャンエリア中心部のメインロード沿いにある津波ミュージアム。被害状況や当時の写真、ドキュメンタリー映像などを見ることができます。
▲津波に陸地に流された海洋警備艇がそのまま津波モニュメントとして展示されています。海岸から1.5kmほど離れたこの広場の間には道路や家屋やホテルなどが立ち並んでおり、津波により全てながされてしまったとのことです。
ビーチ沿いに宿をとっても自転車があればすぐに行くことができます。
10年以上前の出来事ですが、津波の恐ろしさを忘れないためにもカオラックに来たらぜひ訪れたい場所です。
今回のケセラセラ
大津波で壊滅的なダメージを受けた街とは思えないほど今では復興も進み、新たな町づくりが進むカオラック。
次々と新しいホテルやヴィラ、レストランなどが建てられていく様子は勢いづくバンコクの町にも似たところがありますが、もともとは静かな浜辺の町。
ゼロから再び立て直している勢いと海沿いのゆったりした空気感が相まって、何か他の町にはない魅力がここにはあるような気がしました。
無目的で訪れたカオラックに僕らは結局3泊だけ滞在したんですが、「静かにゆったり楽しめる大人のビーチリゾート」という印象で、欧米人の年配カップルや家族づれが好む理由がなんとなく分かります。今の僕ら夫婦にもかなりしっくりくる雰囲気があって、とても気に入ってしまいました。たぶんまた訪れることでしょう。
まだまだ日本人には知られていないビーチリゾートですが、地球の歩きかたの最新版にはカオラックの特集ページが設けられるなど、徐々に注目を浴び始めているようです。
この落ち着いた雰囲気を損なわないような、いい意味で隠れ家的リゾートに発展していったらいいなぁと願うばかりです。