ものを持たない人=ミニマリストとは限らない。広義なくくりでミニマリズムを考えよう

ミニマリスト

ミニマリスト(最小限主義者)っていうと、モノをほとんど持たず、出費も最低限に抑えて質素で慎ましやかな生活を送っている、と誤解されることもあるようです。

確かにある部分ではあたってるかもしれません。
だけどそもそもミニマリストってなんだ!?とふと考えちゃいました。

ミニマリズムやミニマリストの定義、何をもってミニマリストと言えるのか、安易にその言葉を使っていたけど僕自身も曖昧にしか意味を把握してませんでした。

そんなわけでちょっと調べてみました。

Sponcered Link

ミニマリストの定義。ミニマリズムとは何か?

ぶっちゃけ明確に定義されているわけでもなく、どこかの辞典などに「これがミニマリズムであーる」なんてことが明記されているわけでもありません。

もともとは美術や音楽などの芸術分野で最少限度の要素で作品を作り上げることを目指す姿勢のことを差し、1960年代にアメリカで初めてその言葉が用いられ始めたようです。

現在その言葉の意味として広く使われるようになった「生活様式やライフスタイルとしてのミニマリズム」は、ジョシュア・フィールズ・ミルバーンとライアン・ニコデマス(Joshua Fields Millburn & Ryan Nicodemus)という2人のアメリカ人が2009年に提唱したのが最初だと言われています。
書籍を出版する他、2010年には「the minimalists」というWEBサイトが構築され広く知れ渡るようになったようです。

彼らが提唱する「ミニマリズム」が大方の定義と見なしても良いかもしれません。

Minimalism is a lifestyle that helps people question what things add value to their lives. By clearing the clutter from life’s path, we can all make room for the most important aspects of life: health, relationships, passion, growth, and contribution.
There are many flavors of minimalism : a 20-year-old single guy’s minimalist lifestyle looks different from a 45-year-old mother’s minimalist lifestyle.
Even though everyone embraces minimalism differently, each path leads to the same place: a life with more time, more money, and more freedom to live a more meaningful life.

意訳ですが、だいたいこんなことを言ってます。

ミニマリズムとは、何が人生に価値をもたらしてくれるのか答えの鍵となるライフスタイルです。
人生から散らかったものを取り除くことで、一生の最も重要な側面、つまり健康、人間関係、情熱、成長、貢献のための余地を作ることができます。
ミニマリズムは多様性があります。20歳男性と45歳の母親のミニマリズムのライフスタイルは別物です。
それぞれ別の方法でミニマリズムを受け入れたとしても、やがて同じ結果:有意義な人生(より多くの時間とお金、そして自由のある人生)へと結びついていきます。

長い人生の中でノイズとなるものを減らしていき、毎日の生活を身軽に過ごすことで、本来最も大事にすべきこと(健康、人間関係、やりたいこと、成し遂げたいこと)に意識を向けられる。
その結果、無駄にしていた時間やお金、そして自由を得て有意義な人生を送れる。それがミニマリズムであり、それを実践する人がミニマリストだ!
・・・っていうことでしょうかね。

明確な定義がないのも分かります。
人生は人それぞれ、やりたいこと・成し遂げたいこと、それらへの情熱に対する温度も人それぞれですからね。

要点としてはミニマリズムは物質的な最小限主義にとどまらず、もっと広義なくくりで考えた方が良いというところですね。

人生の様々な側面で役に立つミニマリズム

生きてればいろんな道を辿ることと思います。
中でも衣食住、心と体、仕事、そして時間などが重要な人生において重要なキーワードになってきます。
大まかに5つの分野に分けてミニマリズムを当てはめて考えてみました。

1. 住環境

  • 着てない服、履いてない靴、使わない家具や家電、その他ガラクタを処分、ごちゃごちゃ散らかった部屋をスッキリさせる。

2. 健康

  • 乱れた食習慣をやめて体に優しい食生活を心がける。
  • 夜更かしなど不規則な睡眠を改める。
  • シャンプーや洗顔料、石鹸などは体に負担をかけないものを選ぶ。

3. 仕事

  • 自分のやるべき仕事のみに集中。やらなくていいことは他人に任せる。
  • 闇雲に量をこなすより質を重要視する仕事の仕方、生産性を高める仕事を重視する。
  • 収入にとらわれすぎず、やりたくない仕事はやらないようにする。

4. 時間

  • 無駄に使っていた時間を減らし、本当にやりたいことに時間を使う。
  • 楽しいと思えることにできるだけ時間を割くようにする。
  • 不必要な情報をシャットアウトして自分にとって必要な情報を得る時間を大事にする。

5. 精神面

  • 心配事を減らし、楽しめる心を養う。
  • ストレスを減らし、心に余裕を持つ。

ざっと思いつく範囲で挙げてみました。
これらの他にも当てはめられる対象がいっぱいあるかもしれません。
(健康のところはちょっと違うかもしれないけど、不本意な病気や体の不調につながらないように日々の心がけも大切かなと思い加えました。)

仮にこれら全てに対して充実した結果が得られているのなら、それが真のミニマリストと言えるかもしれません。
だけど、そんな完璧な人生を送る人なんてなかなかいないと思います。
部屋は綺麗だけど不健康で病気がち、仕事は充実してるけど趣味に当てる時間がない、家庭も仕事も趣味も充実してるけどなぜかどこか虚無感を感じている・・・などなど。
人は何かしら心にスキマがあるものです。

これらの広義なくくりでのミニマリズムを生きる指針として、うまくいってないとことは一つ一つクリアにしていけば明るい未来に繋がっていくんじゃないかと思います。

モノを持たない人=ミニマリスト、とは限らない

ミニマリストという言葉は1の「住環境」、つまり物質的な概念にだけクローズアップされがちです。
ミニマリストが増えると経済が衰退するとか、サイレントテロなのでは?とか心配する声もありますが、それは「ものを持たない人・買わない人=ミニマリスト」というイメージが先行しているからです。
広義なくくりでのミニマリズムを考えたら、上述した通り、住環境のみならず仕事や精神面など幅広い分野に当てはめられます。

例えば僕の場合は、仕事やブログ書いたりする場所は家の中がほとんどなので、ごちゃごちゃしてると視覚的なノイズになるし気が散って集中できない。なのでなるべく身の回りはこざっぱりしておきたいという意識が強いです。
不要なものはことごとく処分した結果、本当に必要なものだけが残った感じです。もともと物欲が少なかったけどモノが減るとさらにその欲望が減退していき、買い物をする時の見極め力も高まったんじゃないかと思ってます。
こうして見るとモノを買わない人=経済に不都合な人と思われがちです。

でもお金を使うべき時には使っています。

僕は旅が好きなので生きてるうちにいろいろな場所に行ってみたいと常々思ってます。
旅費をためて旅に出かけ、旅に必要なガジェットを整えるためにお金を使うことが多いです。

そして、旅に出かけたいがために仕事や時間、健康面でミニマリズムを発動させていると言ってもいいかもしれません。
日々の雑多なことや無駄な作業に時間を費やさないために部屋はこざっぱりとさせ、不要なもの・ノイズとなるものはことごとく処分。これは住環境のミニマリズムですね。
そしていざ旅の計画を立てたら楽しみで仕方なくなり、余計な心配事もストレスも吹き飛びます。これは精神面でのミニマリズムかな?

昭和時代のように物質的な豊かさが尊重される時代はとっくに終わってます。
自分の心が満足できるような、自分が本当に楽しめるようなことにお金と時間を使い、それ以外のことはなるべくシンプルにミニマルに抑える。
そういう意識がある人はみんなミニマリストと言ってもいいかもしれませんね。かなり強引な紐付けですけど^^;

家庭や職場。人それぞれのミニマリズムを尊重する

僕がミニマリズムを意識し始めるキッカケとなった本「もたない男」。
この本の著者はミニマリストというより「捨て魔」「減らし魔」に近いのかもしれませんが、とにかく不必要なものは徹底的に処分するか減らすところが痛快です。(定規の長い部分は不要だから半分にちょん切るなどw)
だけどミニマルにしているのは著者の仕事場だけに限った話で、自宅の日常生活には触れられていません。おそらく日常生活にまで話を及ばせると家族と同居している以上は「もたない男」とは言い切れない部分が出てくるのかもしれません。

仮に僕が今一人暮らしをしていたら、たぶん家の中にほとんどモノがない状態になってると思います。(冒頭の写真に写ってるもの+衣類と寝具くらいで十分。)
しかし今は妻と二人暮らしなので、家全体を見るとそれなりにモノが溢れた状態です。
よくよく家の中を見ると、僕の所有物はほとんどなく、8割9割方、彼女のものです。(料理をするために調理器具がいろいろありますし、仕事上の書籍なんかも部屋に山積みされてます。)
僕から見ると「それ必要なのか?」と思うものがありますが、彼女なりのミニマリズムを追求した結果なんでしょう。

家族と言えど好きなこと、やりたいこと、考え方もまったく異なることを理解していれば、不要と思われるものも実は必要で捨てられないものだと分かってきます。

家庭に限らず職場など人が集まるところでは、自分のミニマリズムが適応できないことも出てくるでしょう。
でもそこはうまく折り合うことも大切かと。
仮にそれがストレスを生み不条理だと強く感じるようなら、そういった環境からオサラバしちゃうのもミニマリズムと言えます。(離婚したり転職したりしてスッキリした友人もたくさんおるw)

今回のケセラセラ

必要だと思ってたものが実は対して大事じゃなかった。なんとなく毎日やっていたことをやめたらスッキリした。ストレス解消だと思っていたことが実はストレスになっていた、などなど。
変に執着しているモノ・コトを思い切って捨て去ってみると新しい何かが目覚めるかも。
ミニマリスト万歳。ケセラセラと人生楽しみましょう〜