手間はかかるがなるべくコストをかけないCDアルバムの作り方
ブエナス・タルデス!
バンド活動を始めて早16年が経とうとしております。
おかげさまでライブや演奏依頼でのパフォーマンスは毎回好評を頂いており、続けていてよかったなーと思うと同時に続けて来られた感謝の気持ちも満ち溢れんばかりです。
さて、ライブ活動の他にオリジナルソングの作詞・作曲などもやっておりまして、今回晴れて4枚目(自主制作やミニアルバムを入れると6、7枚目?)のアルバム「Viajeros」をリリースすることができました。
Viajerosとはスペイン語で「旅人たち」の意味。このブログの以前のテーマは「人生は旅みたいなものだ!だから人間はみな旅人だ!」なんて鼻息荒くしていた時期もありましたが、今回のアルバムタイトルもそんな発想を基にしています。
ニューアルバムを作ろうと動き出したのは2013年、それから足掛け3年以上。
レコーディングを長々手伝ってくれたバンドメンバー、そして日々多忙に関わらずミキシングその他全般的な作業に尽力してくれたマリオさんに感謝です。
ちなみに前作同様、今回もマリオさんの個人レーベル「Exit Music Lab.」でのリリースです!
サンプル音源も聴けます↓
現在オンラインショップとiTunesダウンロード、そしてライブ会場で販売開始してます。
よかったらチェックしてみてください!
スタジオも使わずエンジニアもつけず試行錯誤しながらのレコーディング
今回のアルバムレコーディングはエンジニアなどもつけずに自分たちの感覚だけで試行錯誤しながら音作りをしていきました。
うちのバンドの音楽はとにかくギターストロークのアンサンブルやグルーヴ感が要になるので、このジャンルに精通したエンジニアじゃないとたぶんスムーズにいかないんです。
おそらく日本にはこのジャンルに詳しいエンジニアは皆無と思われます。一番知っているのはうちのバンドメンバー周辺なので、結局自分たちだけでなんとかやった方が早いしストレスなくできるのです。
レコーディング、ミキシングの作業は音楽スタジオじゃなくていわゆる公共施設の音楽室がメインでした。
だいたいどこの公共施設も防音がそれなりにしっかりしていて、利用料も3-4時間単位で1000円~2000円くらいと激安なのがメリットです。
パソコンや録音機材、簡易スピーカーなどを持ち込めば即席のレコーディングスタジオに早変わりです。
そんなわけで手間こそかかったものの、コスト的にはかなり抑えられたんじゃないかと思います。
▲よく利用した町田市の南市民センター音楽室。17:30-22:00でなんと1,100円!駐車場もアリ。
とは言え、DTM(Desktop Music:パソコンで音楽を作ること)に必要なオーディオプラグインとかオプションをそろえるのにそれなりの金額がかかりました。だけど今後も同じようにレコーディングを続けていく上での初期投資とも言えます。
音楽を作る工程などは書いてるとマニアックな内容になりそうなのでここでは割愛しますが、今回のレコーディングでいろいろな知識やノウハウを得ることができたので、余分にかかったコストも今後に必要な投資だったと考えるようにしてます。
無駄を省いてシンプル&ミニマルに! コストをかけないCDジャケット制作
今回のジャケ&CDプレスはよりシンプルな仕上がりになるように工夫しました。
「Viajeros」CDジャケット+盤面印刷の仕様
- 紙ジャケット2パネル
- シュリンク包装不要
- 盤面印刷は余白部分を大きく
- 歌詞カードはA4カラー裏表印刷で別注文
紙ジャケット2パネル
おそらく一番シンプル&最低限のジャケット仕様ですね。
とにかく環境汚染の基となるプラスチックのケースが嫌だったので紙ジャケット一択。
無駄に厚みがあるとかさばるのでサイズも2パネルのシンプルなものです。
展開図はこんな感じ。
シュリンク包装不要
CDやDVDを買うと必ず覆われているあの透明カバーが長年の疑問でした。
ごく一部のコレクター的には商品を保存する上で必要なカバーなのだろうけど、大多数の人にしてみればほぼすぐゴミ箱行きの「無駄そのもの」。
だから今回はこのシュリンク包装をしないで納品してもらうことにしましたよ。
▲てっきりシュリンク包装されていないジャケットにCDが入った状態で納品されるのかと思いきや、別々になっておりました。
封入作業という手間がかかりますが、ゴミが少しでも減ることを考えればお安い御用です。
盤面印刷は余白部分を大きく
ライブでCDを売ったりすると恐縮ながらサインを請われたりします。
しかし今回のアルバムはジャケットがダークな色合いの写真なのでサインするスペースはほぼ無し。歌詞カードの余白という選択肢もありますが、CD自体の盤面をサインスペースとすればいいか、と思いつきこのような仕様になりました。
ちなみに昔作ったアルバムはジャケも盤面も黒ベースでサインするところが全くなく、わざわざ金色と銀色のマジックペンを用意して余白ならぬ余黒にサインしてたりしてました。
まあ極端なこと言えばビートルズのホワイトアルバムよろしくジャケットを無色&超ミニマルにしちゃえばいいんですが、やっぱりジャケットはアルバムの顔なのでそこは妥協できませんでした。
▲先日のライブで買っていただいたお客さんのFB投稿より拝借♪
歌詞カードはA4カラー裏表印刷で別注文
今回はコストを抑えるという目的もあったので、歌詞カードをどうするか考えました。
ジャケット印刷の際に2ページ以上の歌詞カードを封入するとコストが一気に跳ね上がります。
そこで歌詞カードはA4サイズの格安印刷で別注文して、それを織り込んで封入するという、一手間・二手間かかる方法を選びました。
A4サイズの歌詞カード。両面カラーで折り無し。プリントパックだとかなりコスト削減になります。
これを6つ折りにしてジャケットに収まるサイズにします。
▲コストを抑えた結果、歌詞カードの折り込みとジャケットへの封入作業という手間がかかります。
しかし意外とこういう単純作業が嫌いじゃないんですよね。暇な時に動画とか見ながら作業します。
ミニマルなCDジャケットにしたメリット
なんといってもコストがかなり抑えられる
今回のアルバムは前回のアルバムの2倍量発注したにもかかわらず、コストは前回の約6割くらいに抑えることができました。
その結果、商品価格も安くしてライブ会場で気楽に変える値段(12曲入りで¥1,500)にしました。
重ねてもたいしてかさばらない
完成品は一枚5mmにも満たない厚さ。一般的なCDケースに比べればかなり薄い仕上がりです。
家で保管しなくちゃいけないので、なるべく物を置きたくない人間としてはこの薄さが非常に重要なポイントです。
余計なゴミが出ない
シュリンク包装をやめたのでその分のゴミが出ないというメリットがあります。
月日が経って仮にCDを廃棄することになったとしても薄っぺらい紙ジャケットなのでたいしたゴミになりません。(なるべく捨てないでほしいとは思いますが(ToT。)
ミニマルなCDジャケットにしたデメリット
- 折り込みや封入作業などの手間がかかる。
- 見た目が少し貧弱な感じになる。
- ジャケットが完全に閉じられていないのでCDと歌詞カードが落ちそうな印象を受ける。
- 紙を折っただけのジャケットなので背表紙がない。
1に関しては暇な時に地道に作業すればいつかは終わります。
2に関しては確かに薄っぺらい見た目ですがジャケットの印刷と紙質はしっかりとしているので、チープな感じはありません。たぶんそこを気にする人はほとんどいないんじゃないかな。求めているのは中身だから。
3については一見落ちそうな印象はあるものの、CDと歌詞カードがしっかりと収まっていてジャケットを振っても落ちるようなことはありませんでした。
4はCDをたくさん並べたときに探しづらいと感じる人もいるかもしれません。そんな時は平置きにして飾りましょう。
価値観の違いはあるかもしれないけど、個人的にはデメリットと呼ぶほどのことじゃないかなーと思ってます。
ミニマルを突き詰めるならダウンロード一本に絞れば?という案に関して
iTunesやAmazonでのダウンロード販売なら上述した手間や費用が全く掛からないので、それ一本に絞ればいいんじゃないかという心の囁きも聞こえます。
ミニマライズを突き詰めるのならそういう選択肢もアリです。
でもライブ会場で売りやすいんですよね。「モノ」があった方が。
ファンの方々の心理としてもやっぱり好きなミュージシャンのグッズとして形あるものを手にしておきたいと思うのです。
デジタルなダウンロード音源は味気ないですもんね。
そういうわけで今後も世の中がデジタル化していっても、何らか「形あるもの」をリリースしていきたいと思います。
今回のケセラセラ
コストをかければ幾らでもクオリティの高いものを作れるとは思います。
でも実際コストをかけられないという現実もあるし、先日の投稿じゃないけど自分たちの身の丈にあったやり方じゃないとどこかできっと無理が生じてしまうと思うんです。それがストレスになったら元も子もないわけで。
実際今回のレコーディング+ジャケット制作は時間と手間こそかかったけど、ストレスを感じることなくワクワクしながら進めることができました♪♪
そういう意味では、ベストな道のりだったと思います。
あれこれと試行錯誤はしたけど結果的に納得のいく作品に仕上がってよかったです!
ちなみにアルバム1曲目の「Sera Sera」という曲はこのブログのテーマ「あるがままケセラセラ」をそのまま歌にしたような曲です。
今後もケセラセラに楽しく曲作りをしていきたいと思います!
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