大雑把にシルクスクリーンプリントのTシャツを作ろう
オラ!アミーゴス!ブエナス・ノチェス!
最近バンドのオリジナルTシャツを作るのがマイブームです。
Tシャツプリントにはいろいろなやり方があって、最初は大磯のTシャツ屋さん「彫盛(ホリーモリー)」さんに伝授していただいたステンシルでやっておりました。
しかしカッターで一つ一つ型をつくるのと筆を使ってひたすらインクを塗りつけていくやり方が思った以上に手間がかかる。
味わい深い手作りTシャツに仕上がるのはいいのですが、やっぱり時間がかかるし根気がないとできないため断念!
そこで試行錯誤した結果、シルクスクリーンというプリント技法に行き着きました。
まあ、これも結構大変っちゃあ大変ですが、慣れてくるとある程度量産はできるし、販売目的でTシャツつくるのにはちょうどいい方法なのかな、と思い実践しております。
自分流シルクスクリーン。作業手順と準備するものアレコレ
ググると皆さんあらゆる方法でシルクスクリーンに挑んでます。
工具などを使って完璧に仕上げる方法からホームセンターで売っている専用キットで簡単に作る方法までやり方は様々。
なるべくお金をかけずに、手軽にできて、仕上がりもきれいになる方法はないかと自分なりにアレコレやってみました。
手順としてはこんな感じ。
- Illustratorなどで作成したデザインを透明フィルムにプリントアウト。
- それをTシャツくんというシルクスクリーンシートに露光、転写。
- 水で洗うとフィルムの黒部分だけが流れ落ちシルクスクリーンの型が完成。
- その後自作の木枠にパリッと貼り付け。
- Tシャツくん専用のインクでTシャツ本体にプリント。
- 乾いたらアイロンがけしてオリジナルTシャツの完成!
準備するもの、あると便利なものなんかを手順ごとにズラーッと挙げていきます。
1.イラレで作成したデザインを透明フィルムにプリントアウト
Illustratorを使って好きなデザインを作ります。色は必ず黒一色に設定。
それを透明フィルムに印刷出力。
なんで透明フィルムに?という説明は後で。
今回はこの透明フィルム(OHPシート)を使いました。
▲他にもいろいろなメーカーからいろいろ出てます。
透明フィルムは一つのデザインで2枚分出力しておきます。
同じデザインのものを重ね合わせて転写用フィルムの完成。イラレで作るときにトリムマークとかつけて重ね合わせやすいようにしておくのがコツ!
▲上に重ねるフィルムの端っこをカットしてトリムマークにきっちり合わせる。セロテープで貼り合わせた後にトリムマークの部分を切り去る。
2.Tシャツくん専用シルクスクリーンシートに露光、転写
シルクスクリーン制作キットとして「Tシャツくん」という商品があるんですが、それのスクリーンシートだけ購入しておきます。
今回使ったのはこのスクリーン。
▲メッシュ数は120だけど、他に80、60とある。この数値が低くなるほどスクリーンの目は大きくなる。Tシャツなどの布にプリントする場合は120が一般的。
▲大きめのサイズも売っていたので試しに買ってみたけどまだ使ってないっす。
このスクリーンシート、水で洗うと溶剤が流れてしまうんですが紫外線に当てると定着して水に流れなくなります。
透明フィルムに印刷された黒い部分が紫外線の光を遮断することで、それ以外のところが硬化して水に流れなくなります。これでデザインしたところだけインクを通せるメッシュシートになるわけです。
(そんなわけで上に書いた通り透明フィルム(より効果的な二枚重ね!)が必要になるっちゅーことです。)
紫外線は家の中にある蛍光灯からも発せられるということで、わざわざ露光用ライトなどを買わずに工夫して露光装置を作りました。
ていうか単なる段ボール箱です。端っこに養生テープとかを貼り付けておきます。
で、箱の底にスクリーンシートとデザイン出力した透明フィルムをそっと置いておきます。
箱に入れる時スクリーンシートに紫外線の光が当たらないようになるべく部屋を暗くするか、LEDライトとかでちょっぴり手元を照らすくらいにすべし。
準備が出来たら蛍光灯のあるところに箱をペタペタ貼り付けます。(ザ・アナログ)
これで準備完了。いざ紫外線露光!
この状態で約15分ほど放置しておきます。蛍光灯の光が鈍そうなときはやや多めに20分~30分放置が良いかと。
3.フィルムの黒部分だけが流れ落ちシルクスクリーンの型が完成
時間になったら蛍光灯を消して段ボールを外し、中からスクリーンシートをおもむろに取り出します。
流しにビローンと広げてハケを使って水流でサササーっと優しく洗い流していきます。
するとどうでしょう。透明フィルムの黒部分で覆っていたところだけ徐々に流れ落ちていきます。
▲洗う時もなるべく暗闇にしてLEDライトでちょっと照らすくらいにすべし。
クッキリとデザインが転写されていれば成功。
ちなみに失敗例も。
▲ロバとギターのデザインを作ってみたんだけど、なぜか文字の部分がうすらボケた感じに。シートと透明フィルムの間に隙間ができてしまったのが原因。
露光の際、スクリーンシートと透明フィルムはちゃんと密着させて固定するのもポイントですね。
あとは洗い流す際になるべく光に当てないこと。
4.スクリーン貼り付け用の木枠を自作
出来上がったスクリーンシートをピーンと張るためのフレームを自作します。
使用するのはバルサ材の棒。それに鉛筆、定規、木工ボンド、テープ各種、ノコギリ、ホッチキスなど。
バルサ材は軽くて加工が簡単でそこそこの強度もあるという工作向けの木材で、100円ショップのクラフトコーナーで売られています。なければホームセンターに行けば結構安く売られてます。
ノコギリで同じ長さの木材に切り分けます。バルサ材なのでいとも簡単に切ることができます。ノコギリが家になかったら100円ショップで売っているノコギリカッターで十分かと思います。
▲ガムテープを下敷きにして浮き上がらせた状態で切り分ける。大雑把です。
木枠の構造はこのような感じにします。
で、これをどうするかというと・・・
木工ボンドを気休めに塗って、あとはひたすらテープで貼り付ける!!
養生テープで仮留めして・・・
梱包用のビニールテープで仕上げ。
小学生の図工なみの手軽さです。強度的に大丈夫なのか?と心配になるかもしれないですが、意外とこれが丈夫です。
最後にもう一度梱包用テープで全体を覆いつくすように補強し木製フレームの完成です。
サイズは自由にカスタマイズして作れるので、どのようなサイズのスクリーンシートでも対応できます。作るのに手間が少々かかるのが難点。
続いて出来上がったフレームにホッチキスでスクリーンシートをピーンと張るように貼り付けていきます。
▲バルサ材なので簡単にホッチキスの芯が埋め込まれる。
ちなみにシートの大きさに対するフレームのサイズを間違うとホッチキスを打つ余裕がなくなる恐れあり。
▲こんな風にギリギリのところにホッチキスを打つことになる。しかしこれでもなんとか使えます。
5.Tシャツくん専用のインクでTシャツ本体にプリント
シルクスクリーンを使っていよいよTシャツにプリントしていきます!
インクで汚れないように新聞紙などを敷いてプリント用のTシャツを広げます。(Tシャツは前にタイに行ったときにたくさん仕入れてきました。)
Tシャツの中にウレタンの中敷きを挟み込み、その上にシルクスクリーンのフレームを位置を決めて配置します。(中敷きを挟まないとインクが染みこんで失敗します。)
Tシャツくん専用インクはAmazonでいろいろなカラーが売られてます。今回はダークな地色のTシャツにプリントするためホワイトインクを使います。
▲小さいサイズのものや白以外にも様々なカラーがある。
ナイフやスプーンなどでインクをすくい取り、スクリーンの上の方に盛り付けます。この時インクの量をケチるとスカスカになってうまくいかないので、ここはケチらず大盛でいきましょう。
そして手と足でフレームを押さえながら一気にスキージ(インクを擦り付けるヘラ)を手前に引き寄せて刷り込みます。割と力を入れて引き寄せるのがコツ。
▲スクリーンシートに対してデザインが大きすぎるとインクを盛るスペースが少なくなるが、多少デザインにかぶっても問題なし。
ちなみにバルサ材で作られたフレームなので軽いため刷り込むときに一緒に動いてしまう恐れがあります。
なので僕の場合は右足と左手でフレームを抑えながら作業します。少しトリッキーな体勢で足がつりそうになりますがガマンします。
▲こんな体勢です。
しっかりと刷り込みができたらゆっくりフレームを引きはがします。
どうでしょう?なかなかきれいな仕上がりです!
インクが他のところにつかないように注意しながらTシャツを広げて干します。
6.乾いたらアイロンがけしてオリジナルTシャツの完成!
しっかりインクが乾いたら仕上げにアイロンがけをして完成です。
Tシャツくんのインクはもともと水性インクですが、乾かした後に熱を加えることで反応して固まり、水に溶けないようになります。
▲Tシャツの上に古布をかぶせて、その上からアイロンがけ。
▲バンドのライブで販売するため見栄え良く折りたたんで袋に入れて値札をつけて、ついに完成!
今回のケセラセラ
シルクスクリーンっていうと敷居が高いイメージでしたが、専用の機材や高価な工具などを使わないでも身の回りにあるもの+最低限の材料さえあればハンドメイド感覚でそこそこきれいにTシャツプリントができちゃうものです。
ところで今回作ったTシャツをよく見ると印刷のカスレやムラがあったりして、とても完璧なシロモノではないことは確か。
でもそれがかえって「いい味」になってるんですよねー。むしろそこに狙いがあって業者などは使わず自分で作るわけです。
一つ一つ味わいがあるTシャツに仕上がって、実際ライブ会場で買ってくれたお客さんからも好評を頂いております(嬉)
気楽な自作シルクスクリーンであれば、新たなデザインが出来上がるたびに新作のTシャツとして作ることもできます。
露光や木枠づくりがやや面倒ですが、作業工程に慣れればこれも結構楽しくやれちゃいます。
大雑把だけど味のあるシルクスクリーンTシャツづくり、今後もケセラセラに楽しんでいきたいと思いまーす♪♪
ディスカッション
コメント一覧
ありがとう!この方法が一番手軽でお金がかからず、うまく露光できました!
シルクスクリーン初挑戦で、Tシャツくんのスクリーンの露光時間のテストを結構な回数してみたのですがどうにも上手くいかず、どうしたものかと思って検索しまくってこちらに辿り着きました。
色々な露光機の作り方がありましたが、こちらの段ボールオンリーでアナログ丸出しが私好みです。
コメントありがとうございます!
お役に立てて嬉しいです♪♪
露光はスクリーンに影ができないように固定して蛍光灯を当てれば、経験上ほぼ失敗なくできます。
アナログ丸出しですが、これが意外とうまくいくんですよね。