年寄りを敬う日

この前の月曜日は敬老の日ということで祝日。

うちのばあちゃんは練馬のグループホームというところでお世話になっています。
そこで敬老の日にパーティーをやるというので呼ばれていたのですが、当初、うちのバンドがボランティアで演奏して盛り上げてくれないかと頼まれていました。
それはもちろんOKなんですが、ラテンのビートでしかもスペイン語の曲だからちょっとお年寄りには刺激が強すぎるのではと思いました。

結局、仕事仲間のこへいじ氏が沖縄の三線を使ってバンドをやっているので、彼に依頼することにしました。
で、何か知らんが自分もギターで参加することに。

・・・この予定が決まってからあれよあれよと時が経ち、ついに本番前日になってしまった。
演奏曲は10曲なのに全く練習していない。

前日にバンドの仲間の実家がある葛西にメンバー全員集合。
その家で直前練習が行われました。

メンバーは三線2人、マンドリン、ベース、ジャンベ、そしてギターの計6人。
初めて顔を合わすというわけではなく、一緒に山に登ったり海で遊んだりする仲です。
そしてみんなバイク乗りだという共通点もある。
そんなわけで性格も笑いのツボもみんな似ています。

夕食を頂いてから近くのスタジオに移動。
夜中の2時まで練習する羽目になりました。
しかしおかげでなんとか全部の曲を把握することができ、なんとかなりそう。
で、翌日本番。
昼頃に現場入り。
セッティングなどを済ませて出番を待つ。
会場ではじいちゃん、ばあちゃんたちがずらーと椅子に座ってじっとしています。
ちょっといつも自分のバンドがやっているライブの雰囲気とは違っていましたが、お客さんはお客さんだ。
みんな楽しくやれればいいなと思いました。

やがて出番がやってきて、異様な静けさの中で楽器を手に取り、特に合図もせずに演奏開始。
曲目はもちろん沖縄に関するものばかり。
「平和の琉歌」「なだそうそう」「島歌」とメジャーな曲を演奏しました。
有名な曲なのでみんな知っているかと思ったけど、イマイチ反応が薄い。
そのあと沖縄のミュージシャンの歌を2曲。これはあまり知られていないのだが、聞きやすい曲。
ここで一旦休憩を入れるところでしたが、なんとなく盛り上がってきたのでそのまま演奏することにしました。

「安里屋ゆんた」
沖縄のポピュラーな歌らしい。
途中で「サーユイユイ」とか「マタハーリヌーチンダラーカヌシャマヨ~」という意味不明な掛け声があるのだが、これを会場のみなさん全員で声に出して歌うことで一体感が増してきました。

「おじい自慢のオリオンビール」
調べたらBEGINの曲らしい。ノリノリのナンバーで他のメンバーはみんな踊りだしました。

「お富さん」
春日八郎が歌った言わずと知れた名曲。
もともとの作者が沖縄出身の人だったらしく、三線の音色もぴったりはまっていました。
さすがにお年寄りのみなさんもこの曲は知っているようで、それぞれ口ずさんでいました。

「ゴンドラの歌」
これも調べたらものすごく古い歌らしい。大正時代の歌?
我々若者は知る由もないが、目の前に座っているお年寄り達は蓄音機から流れていたであろうこの曲のメロディーを忘れずに頭の中にしまい込んでいたに違いない。
歌詞をみなさんに配ってみんなで歌うことにしました。
ゆったりとした情緒溢れる旋律にかつての「若者」たちは何を心に浮かべたのだろうか。
配った歌詞も見ずに大声で歌っていた方もいた。

最後は「国民のたばこシンセイ」
これも古い歌らしいです。
今もあるのか知らないが、昔「シンセイ」という安いたばこが売られていて、とにかく贅沢はいかんよ、安くてもいいものはいっぱいあるよ、ということを歌った歌。
変な歌だがほんわかして楽しい曲でした。

アンコールはマンドリン1本で童謡をやってもらったら、これはみんな大合唱で、今までやったのはなんだったんだと言うくらいでした。
しかしまあ最後にもう一回ゴンドラの歌をやって楽しくそして暖かくライブの幕を閉じました。
ライブ後にグループホーム内でちょっとしたパーティーがあり、お年寄りとその家族などがふれ合い、バンドのメンバーもそれに加わりました。
うちのばあちゃんも頭が少しおかしいが、認知症というわけではなく、体も元気。
世話好きの働き者で天然のひょうきん族です。少し衰えたが天然ギャグも炸裂してまだまだ達者だと安心しました。

それにしてもこういう施設は音楽が絶対必要だと思います。
今後もこのような依頼があったら喜んで受けたいと思った次第です。