シャングリラと聞いて何を思い出しますか?
僕は10年前以上にチャットモンチーというガールズ・バンドが「シャングリラ」という曲をやってて、なぜかそれが耳に残ってました。普段JPOPとか聴かないのに。当時よくラジオを聞いてたせいかもしれません。
あと電気グルーヴの「Shangri-La」とかAcid Black Cherryというビジュアル系バンドの「シャングリラ」もいい感じの曲です。
だいたいどの曲も「ユートピア」とか「心の中の理想」みたいな扱われ方をしてます。
なのでずっと前からシャングリラっていうのは架空のユートピア(理想郷)で、実際はそんなところないんだろうなーと思ってました。
ところが!現実世界にそういう地名の場所があるってことを知り、どうしても行ってみたくなったんです。
それが今回の中国雲南省を巡る旅のきっかけと言ってもいいかも・・・。
というわけで実際にシャングリラへ旅行してきましたので、その時のレポートや旅に役立つ情報などを紹介していきたいと思います!
香格里拉(シャングリラ)の名前の由来
理想郷、桃源郷、天国に一番近い場所なんて呼ばれたりしますが、名前の由来はなんとイギリスの小説から!
1933年に出版された「失われた地平線(Lost Horizon)」(ジェームズ・ヒルトン著)の中で理想郷シャングリラのことが描かれていました。しかしこの小説では特に中国のこの場所という指摘がありません。
そこに目をつけた(?)中国政府。「シャングリラのモデルとなった場所はここだ!」と強引に宣言。もともとあった地名「中甸(ちゅうでん:チベット語でギャルタン)」を「香格里拉(Xiānggélǐlā)」に変えてしまったというからすごいですよね。
でもそのネームバリューも手伝って、以後観光客が増えて町も豊かになっていきました。
香格里拉(シャングリラ)とはどんな場所?
香格里拉は雲南省デチェン・チベット族自治州という地域に属し、チベット族を中心に13の民族が住んでいます。
もう少し北に行ったらラサ宮殿で有名なチベット自治区があり、外国人の入域が制限されたエリアとなります。
地形的にはヒマラヤ山脈の東端にあたり、南側には長江、メコン川、サルウィン川(ミャンマーやタイ国境を流れる川)というアジアを代表する3つの大河の上流が並行して流れています。
これら3つの川の景観は「雲南保護区の三江並流(Three Parallel Rivers of Yunnan Protected Areas)」としてユネスコの世界遺産に登録されています。
香格里拉の標高は約3300mと高く、年間平均気温は5~6℃。夏は涼しく冬は結構寒くなります。空気も乾燥して紫外線も強くなります。
そのため香格里拉に来るまでに通るであろう昆明、大理、麗江とは気候がガラリと変わるので注意が必要です。
▲麗江からシャングリラへと続く道。標高が高くなり気温も下がってくる。
しかし夏には夏の、冬には冬の高地ならではの美しい自然や動植物を堪能できるのが大きな魅力となります。
季節に応じて変わりゆく大自然の表情の美しさは、まさに桃源郷シャングリラの名にふさわしいんじゃないでしょうか。
麗江から香格里拉への行き方
麗江古城の南にあるバスターミナル(麗江客运站)から1時間に1~2本の割合で出発しています。所要は約4時間。
▲麗江客运站のマップ。麗江古城近辺からは路線バスで行くことができます。
香格里拉のバスターミナル(香格里拉汽车客运站)は市内中心部の北側、香巴拉大道という大通りの角っちょです。
バスターミナルから中心部の独克宗古城へは徒歩だと30~40分かかりますが、路線バスを使うと楽だし2元で行けます。
▲Google Mapだとバスルートが表示されません(2017年11月)。
バスターミナル近くの停留所で3路バスに乗ります。
11個ほど停留所を過ぎれば古城の近くにたどり着きます。
香格里拉では高山病に注意!
標高が3300mもあるため飛行機で一気に来ると気圧に順応できず高山病の危険があります。
昆明からバスで行く場合もできれば間の大理(標高1,900m)と麗江(標高2,400m)に立ち寄って高度に慣れていくと良いでしょう。
僕もこれらの町に寄って4日かけて香格里拉にたどり着きましたが、それでも頭痛や息切れなど高山病の症状に悩まされました。
(そんな中チャリでナパ海まで行くという強行に出ましたが^^;)
高山病の症状が現れたら無理せず宿で休養するか、町のお土産屋などで売ってる酸素ボンベを常に吸入して体に負担がかからないようにすると良いと思います。
▲スーハースーハー・・・。なお酸素ボンベはちょっとだけ吸っても効果なし。しばらく吸引を続けると楽になってくるそうな。
香格里拉のオススメ宿
バックパッカーに人気の町なので旧市街の古城エリアには客栈(ゲストハウス)がたくさんあります。
どこも古い建物をリノベーションしてとてもセンスのある宿になって、価格帯もそれぞれあるのでどこに泊まろうか迷っちゃうほどです。
僕は今回2つの宿に泊まりましたが、どちらとも特徴があって良かったです。
1日目は古城の南側にある香格里拉贰舍客栈(Ash’s Inn)というゲストハウス。シングルルーム1泊で118元(約2000円)。こじんまりした部屋ながらとてもキレイでアメニティなどすべて揃い、ストーブや湯沸かし器など使えて夜でもしっかり暖を取ることができました。フロントスタッフも英語が喋れて安心です。
▲source:booking.com
2日目はドラゴンクラウド・ゲストハウス(香格里拉龙行客栈:Dragoncloud Guesthouse)。古城のやや北側にあり、新市街への出口からも近いです。近くに安いレンタサイクルのショップがあります。
こちらは少しバジェットな宿で部屋も簡素な作り。なんだか山小屋に来たみたいでした。
▲source:booking.com
▲泊まった部屋は暖房がなく、夜はかなり冷えました。お湯はたくさん出るので足湯をした後に電気毛布にくるまって温まりました。
ドラゴンクラウドゲストハウスに併設されたカフェはすごく居心地が良かったです。
▲WIFIもバッチリ。お利口なワンちゃんと一緒にずーっとくつろげます。
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香格里拉の街中を散策!
到着したその日はあいにくの雨。そして次の日も雨が降ったりやんだりの不安定な天気でした。高地の天気は変わりやすいというのは本当ですね。
そのため1日目、2日目は郊外に出ず、香格里拉の街中を散策してみました。
独克宗古城(Dú kè zōng gǔchéng:ドクゾングーチャン)
1000年以上の歴史がある古城で、チベット最大の民家群とも言われています。
つい最近の2014年には大火災が発生し町の大部分が消失する悲劇に見舞われたようですが、今ではすっかり復興し観光の目玉の一つとなっています。
チベット族ならではのエキゾチックな建物群にお土産屋やレストラン、現代風のカフェなども立ち並び、ここもちょっとしたテーマパークみたいになってます。
しかし麗江古城みたいに人が多すぎず騒がしすぎず、とても歩きやすい雰囲気でした。
がんばれば歩いて1周できちゃうくらいの広さなので、1日かけて古城内を散策するのもいいかも。
▲屋根から子猫がお出迎え。
夜はライトアップされて昼とは違う顔を見せてくれます。建物の作りと照明の当て方にセンスの良さを感じます。
亀山公園とマニ車
古城の中心に亀山公園(龟山公园:Guī shān gōngyuán)という小高い丘があり、頂上にはお寺や巨大なマニ車があり、ちょっとしたアトラクションみたいになってます。
▲亀山公園の丘に登れば旧市街の古城を一望できます。
▲亀山公園にある世界一大きいといわれるマニ車(Prayers Wheel:チベット仏教の仏具の一つ)。お経を唱えながら右回りに三周するのが習わしらしい。
中心鎮公堂
1724年創建の中国様式とチベット様式が融合した建築物で「経院」とも呼ばれています。
20世紀には中国共産党の司令部としても使用され、現在はチベット族の歴史資料の展示のほか共産党司令部時代の博物館として無料公開されてます。
▲抗日と書かれた壁。こういう時代もあったということでいろいろ考えさせられます。
▲歴代の国家主席の肖像画。
レンタサイクルで香格里拉郊外の見どころスポットに行ってみた
滞在3日目にようやく天気が回復したので、自転車を借りて郊外の見どころを周ってみました。
レンタサイクルは1日30元。パスポートを預けるだけで借りることができます。
▲「自行车出租」(Zìxíngchē chūzū)がレンタサイクルの意味。細かい手続きもなく気楽に借りられます。
松賛林寺(ソンザンリン寺:Sōng zàn línsì)お昼時はチベット僧がたくさん出てくるのでオススメ!
香格里拉の町の北側にある雲南省最大規模のチベット仏教寺院。
旧市街から自転車で20~30分ほどで松賛林景区の手前の駐車場まで行き、そこで自転車を止めて左側にあるチケットホールの建物へと入ります。
▲自転車だと20~30分ほど。
ここでチケット代(115元)を支払い、反対側の出口に停車している黄色いシャトルバスへと乗り込みます。(シャトルバスの料金もチケット代に含まれてます。)
▲客が集まり次第随時出発。
チケット売り場から松賛林寺のある松賛林景区まで10分足らずで到着。バスを降りればそこには壮大なチベット寺院の姿が。
▲松賛林寺の中に入って登っている時の様子。
17世紀後半、ダライ・ラマ五世の時代に創建され、その外観がラサのポタラ宮に似ていることから「小ポタラ宮」とも呼ばれています。
ここに数百名の僧侶が生活しているわけですが、普段は僧坊にこもって修行をしているため、あまりたくさんお坊さんの姿を見ることはありません。
しかしお昼時になるとお寺の中心の神殿「ツォンカパ殿」に食事するため一斉に集まってきます。
▲お昼の12時前、ツォンカパ殿の前にたくさんのチベット僧が集合する。
このチベット寺院も文化大革命のころ破壊される悲劇に遭っています。
今も再建は続いているようですが、高いチケット代もその復興費用に充てられているのだと考えれば、まあいいかなと思っちゃいました。
▲民族衣装を来たおばあちゃんからヤクのヨーグルトやバターミルク茶を買う。ちょっと変わった味だったけどおいしかった。
寺院の目の前には湿地帯が広がっており、湖の周りを歩いて一周できます。
時間帯にも因るのでしょうが、昼過ぎだと観光客はほとんどおらず静かに散歩することができました。
▲湖の対角線上から見た松賛林寺。
▲チベットの象徴とも言えるタルチョ(祈祷旗)がはためく場所もあり、そこから見た松賛林寺。
▲湖の周りにはしっかりとした遊歩道が整備されていて歩きやすい。
纳帕海(ナパ海:Nà pà hǎi)
松賛林景区を後にして再び自転車で移動。
お昼ごはんを食べた後にもう一つの郊外の見どころ、ナパ海に行ってみることにしました。
ナパ海は香格里拉の北西に広がる牧草地帯で、雨季(3月ごろ~10月ごろ)は周囲の山から流れ出た水が溜まって湖に、乾季(11月ごろ~2月ごろ)はその水が干上がって草原になるのが特徴。
1984年に自然保護区として指定され、渡り鳥や野生動物などの楽園として多くの旅人を魅了しています。
距離的には市街地から約10㎞の場所。
タクシーをチャーターすればすぐ着いちゃうところですが、自然を肌で感じながら行きたい場合は自転車もいいです。
しかし高山病の症状が出てる時は無理しない方がいいかも。
▲途中、松賛林景区を眺められる場所があり、景色は最高。
▲この道をずっと進むと梅里雪山(チベットと雲南省の境界に位置する長さ30㎞に及ぶ6,000m級の山々)へとたどり着く。
▲ナパ海の自然保護区へのゲート。ここまで来ればもうすぐ!
▲現地に住む人達の住居かな。チベット風の独特な外観です。
▲ナパ海に入域する場合は入場料が必要になる。
入場料が高かったのと、宿のチェックアウトの時間(レイトチェックアウトで16:00にしてもらっていた)が迫っていたという理由もあり、ここから先に入るのを断念!
おそらくこの先に「シャングリラ」と呼ぶにふさわしい絶景が広がっていたことでしょう。
結果的に自転車でナパ海に行くのはかなりハードでした。
体力と時間に余裕がある旅人は是非!!
旅インフォ
目安としてこの記事における旅のデータとかかった金額を記載しておきます。
エリア | 香格里拉 |
---|---|
同行者 | なし(一人旅) |
交通手段 | 長距離バス(麗江→香格里拉)、路線バス(麗江)、レンタサイクル |
宿泊 |
Ash’s Inn(香格里拉贰舍客栈) シングルルーム 118元/1泊 ドラゴンクラウド・ゲストハウス(香格里拉龙行客栈) ダブルルーム 79元/1泊 |
長距離バス 麗江→香格里拉 | 58 |
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フライドポテトのラー油和え (休憩のパーキング) | 6 |
香格里拉 路線バス | 2 |
夕食 チキン炒飯 白菜豆腐スープ | 30 |
雲南コーヒー | 20 |
朝食 肉まん ゆで卵 | 4 |
ヤクミルク | 5 |
昼食 鶏肉米線 | 15 |
水1.5l | 5 |
アクセサリー(お土産) | 10 |
夕食 韓国激辛スープ (Yak Bar) | 34 |
黒糖ジンジャーティー | 16 |
朝食 ナンみたいなパン 豆乳 | 10 |
レンタサイクル | 30 |
松賛林寺入場料 | 115 |
ヤクヨーグルト、バター茶 | 10 |
昼食 卵トマト炒め ご飯 | 20 |
コーヒー | 25 |
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旅の動画
旅人目線で撮影した動画です。
中国-ベトナムの旅 07 麗江→香格里拉(シャングリラ) / Trip to China-Vietnam 07 / Lijiang-Xiang Ge Li La
▲麗江のトンパ文字博物館見学と黒龍潭公園散策。麗江から香格里拉へ移動。夜の独克宗古城を散策。
中国-ベトナムの旅 08 香格里拉(シャングリラ)街歩き / Trip to China-Vietnam 08 / Xiang Ge Li La
▲雨の独克宗古城を散策。銀行で両替、亀山公園、マニ車など。
中国-ベトナムの旅 09 香格里拉(シャングリラ)周辺自転車巡り / Trip to China-Vietnam 09 / Ganden Sumtseling Monastery
▲自転車で松賛林景区、チベット仏教寺院、ナパ海を周る。
雲南省での旅行記を参考にさせてもらいながら、私も昆明、大理、麗江、シャングリラを旅行させてもらいました。とりわけシャングリラは、チベット様式のお寺や街並みがとても綺麗&異国情緒に溢れて、街歩きが新鮮でした。
昆明からはインドに向かうのですが、引き続きブログを参考にさせてもらいますね。
初インドなので少し警戒してますが、 Luisさんの記事を読む限り素晴らしいところもたくさんあるみたいなので、楽しみです。
いつも投稿ありがとうございます^_^
はるな様
うれしいコメントありがとうございます!励みになります。
同じルートで旅行されたんですね。参考になって良かったです!昆明からインド、ぜひ気をつけて旅を楽しんでください♪♪
インドは好き嫌い分かれるかもしれませんが、いろんな意味で空気に慣れたら気楽で、僕は好きです^^
不定期投稿ですが、今後もいろいろ書いて行きます〜〜♪♪
インドは早速ひいひい言ってますが、独特でおもしろいですね。
はい、引き続きいち読者として楽しみにしてます!